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2008年05月25日発行
今メジャーで最も熱い男、“ビッグ・ピューマ”バークマン
今、メジャーリーグで最も熱い男の1人、それがアストロズのランス・バークマン一塁手だ。2002年に打点王に輝くなど、すでにリーグ屈指のスイッチヒッターとして知れ渡っているが、今季は25日時点で本塁打、打点がナ・リーグトップ、打率も同2位と三冠王も狙える位置につけている。例年はスロースターターと言われるバークマンだが、今季は特にこの5月に入ってからの好調ぶりが凄まじい。
ここ数週間のバークマンのすごさを簡単に見ていくと、4月30日から5月18日まで17試合連続ヒットを続けていた間の成績は、驚異の打率.545(66打数36安打)、8本塁打、21打点。5月3日から10日までは、1度も2打席連続でアウトにならず。50打数という区切りで31本のヒットを放ったのは、歴代最多安打を誇るピート・ローズ(元レッズほか)以来、ここ50年で2人目。エド・ウエードGMなどは、「1人だけT-Ball(投手が投げるのではなく、ポールの上に置かれた球を打つ子供向けの野球のようなスポーツ)をしているようだ」と、バークマンの打撃を絶賛している。
かつて「太ったエルビス(・プレスリー)」と呼ばれていたこともあるバークマンだが、現在のニックネームは「ビッグ・ピューマ」。実はこの愛称、過去に地元ラジオ局のインタビューに応えたバークマン自らが考えたもので、曰く「荒々しくもスマート、パワフル、それでいてスピーディー」なのが、自らの野球とピッタリなのだという。そんな、冗談交じりに生まれたニックネームだが、今季の好調さも手伝ってか、すっかりファンやメディアに浸透。本拠地ミニッツメイド・パークには、着ぐるみを身にまとった「ピューマ軍団」が登場している。
ところで、このピューマのイメージ。身長185cm、体重100kg前後というバークマンを知っている方なら、「スピーディー」という部分に大きな疑問を感じるところだろう。実際、バークマンは決して鈍足というわけではないが、過去9年で2けたの盗塁数を記録したことはない。しかし、今季のバークマンは、開幕2カ月にして自己新の10盗塁を決め、リーグ10傑に名を連ねている。恐るべし「ピューマ効果」といったところだろうか。
また、学生時代、マイナー時代を通じて一塁手だったバークマンは、メジャーデビュー当時、チームにはジェフ・バグウェルというスター選手がいたため、外野へコンバート。こういった事情もあり、守備範囲の狭さなど評価はあまり高くなかった。その後、バグウェルの故障、引退で2005年ごろから一塁手に戻されてからは、可もなく不可もなくといったところだったが、かつての感覚を取り戻しているのか、年々上達の様子を見せ、今季はここまでわずか1失策。攻守にわたってアストロズを引っ張ってしているのだ。
バグウェル、そしてクレイグ・ビジオと、かつてチームの一時代を築いた名選手たちが、ここ数年でユニホームを脱いだアストロズ。今や名実ともにチームの大黒柱となったバークマンが、この勢いを続けていくことができれば、スタンドに陣取ったピューマたちが歓喜に酔いしれる瞬間が訪れるかもしれない。
