MLB NEWS
2008年05月09日発行
350勝のマダックスを支えてきた数々の人物
「精密機械」と称されるほどの抜群の制球力を誇り、長年にわたって一線級の先発投手としてメジャーリーグに君臨してきたパドレスのグレグ・マダックス。42歳になっても活躍を続ける大ベテランは現地10日、メジャー史上9人目となる通算350勝の偉業を達成した。
身長183センチ、体重81キロ。腕っぷしの強いメジャーリーガーの中では、決して体格に恵まれているとは言い難い。そして、150キロを上回る豪速球を投げるパワーも持っていない。しかし、マダックスは1986年にカブスでデビューして以来、その頭脳と技術を最大限に駆使し、毎年地道に白星を積み重ねてきた。ここまでたどり着いたのは、本人の実力があってのことなのは当然だが、数多くのめぐり合いがあったことも触れずにはいられない。彼らとの出会いが、マダックスの持って生まれた資質に磨きをかけたと言って過言ではないだろう。
まずは、身近なところでは兄と父の存在だ。兄マイク氏は一足先にドラフトで指名されてプロの世界に飛び込み、引退後は投手コーチとして生計を立てることになるのだが、弟は優秀な兄の背中を見ながら成長した。そして父デーブ氏は、ラスベガスのカジノでポーカーのディーラーを務めた人物。マダックスは並外れた洞察力の持ち主として知られているが、その才能はギャンブラーたちの心理を読み、術中にはめるのに長けた父親譲りと言っても過言ではない。
指導者にも恵まれた。地元ラスベガスでは兄マイク氏を含め数々のプロ選手を輩出したラルフ・メダー(故人)というコーチから、制球以上にボールを変化させることの重要性を学んだ。プロ入り後も、1993年に加入したブレーブスで名伯楽として名高いレオ・マゾーニ投手コーチと出会った。外角低目への制球を重視し、登板の合間に2度マウンドで投げる独特の調整法を編み出したコーチの下、マダックスは投球術に磨きをかけ、かつ目立った故障もなく11シーズンで194勝を荒稼ぎすることになる。
また、このブレーブス時代には実力伯仲、しかも年齢も近い投手2人と切磋琢磨し合ってきた。現在42歳のトム・グラビンは技巧派サウスポーで、マダックス同様300勝を達成。40歳の速球派ジョン・スモルツは、メジャー史上初めて200勝&150勝を成し遂げ、2人にそん色ない数字を残してきた。今でこそマダックスがパドレスでプレーしているが、この3人がメジャー史上でも最高の先発トリオという評価も多く聞かれる。そして、3人とも40代の今もなお、現役バリバリのピッチャーとして球界で活躍している。
このほかにも様々な人物について触れたいところだが、最後にもう1人だけ紹介したい。ウイルソンのグローブデザイナー、麻生茂明だ。1990年代半ば、マダックスはウイニングショット、通称サークルチェンジを投げる際、グローブに小指がかかる癖で悩んでいた。そこで麻生はポケットを広く高めにとったA2000の新型モデルを開発。マダックスは欠点を克服し、今でもこの決め球が彼の代名詞となっている。
