MLB NEWS
2004年05月18日発行
ファインプレーを支える男
〜グローブデザイナー麻生茂明氏 第3回〜
麻生氏は、素材や技術面で最高の品質が求められるプロ選手のグローブだけでなく、採算性を考慮した商品としてのグローブのデザインも手がけている。「皮をどう選ぶか、芯をどういったものにするのか、また消費者が目で見て機能が分かり易いかどうかも大切」と麻生氏はポイントを語る。また試作品をデザインした後は、大学生にテストという形で使ってもらいながらフィードバックを受けて改良を重ねていく。こうしたプロセスを経て完成したモデル数は年間で200に達し、企画から新製品が店頭に並ぶまでには、長いもので2年近くかかるという。
さてウイルソンは今回、スポーツ用品店『スポーツ・オーソリティ』と新たにグローブを共同開発。「ASOデザイン」と麻生氏の名前を前面に押し出して、3月中旬から商品が店頭に並んでいる。硬式・軟式ともにオールラウンド用のモデルには、小指の部分に本人の名が刻まれている。「名前が出るのはどうかとも思ったのですが、喜びを感じています」と照れていた麻生氏だが、商品の特長については、「日本人の手に合わせたモデルで、親指や手の平の感触を大事にしました。また『閉じやすく、開きやすい』というのを目的に作っていて、ボールが取りやすいです」と強調した。
「プロや一般の境をなくして、一般消費者の方にも良いものを、手に合ったものを作ってあげたいというのが私たちの希望です」と語る麻生氏と、このグローブを手にする選手たちの今後の活躍を大いに期待したい。
麻生氏が仕事の拠点としているシカゴの地元球団カブスで、一昨年からショートを守っているアレックス・ゴンザレスという選手がいる。ある日、この遊撃手のグローブが破れたということで、新しいモデルを球場に持参した麻生氏だが、球場の警備が厳しく本人と直接コミュニケーションを取ることができなかった。しかし、試合中にグローブの使い方を見ただけで本人に合わせた形を作った。後日、麻生氏から受け取ったグローブにゴンザレスは大満足。口コミで評判が広まり、ほかの選手からも同様のリクエストが多数寄せられたという。
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