MLB NEWS

2005年03月18日発行

プロ野球選手の声を形に

〜最終回 プロの4番打者みんなに使われるバットを〜

プロ野球選手の活躍を用具の面からサポートするウイルソン・チームスポーツ事業部の村田裕信氏。前回は、日本人向けに開発した新グローブが完成するまでのプロセスをお伝えしましたが、最終回はメジャーで一大旋風を巻き起こし、今年日本に初上陸したバットの紹介と、村田氏自身が語る、この仕事をするために必要なことに触れていきます。

「ウイルソンの野球用具と言えば、グローブ」とイメージする人はきっと多いことだろう。しかし今年からは、カナダメープルを素材とした「サムバット」を日本でも展開していくことになった。このバットは、メジャーの現役最高打者と称されるバリー・ボンズ外野手(ジャイアンツ)が愛用しているもの。村田氏は、その特性について「反発力が強く、ボールが当たったときに『カキーン』という金属バットのような高い音がする」と語った。

この「サムバット」は、その非常に高い性能とメジャーリーグでの実績により、今年のキャンプ地において選手の間で大きな話題となり使用要望が殺到しました。しかし非常に厳選された素材を使用して製造する為大量生産が難しく、今年は新聞をはじめ各種メディアでも話題となった選手を始め、一流選手のみが使用することになる予定です。村田氏は今後もホームラン打者を中心にこのバットを提供する方針で、「できれば、日本プロ野球界の4番バッターみんなに使ってもらいたい」と大きな目標を掲げている。

これまで紹介してきた村田氏の仕事に、魅力を感じた方もきっと少なくないことだろう。実際に、中学生などの会社訪問を受けると、この仕事ができるようになるために何が必要とされるのか、質問されることもよくあるとか。そんなとき、本人はこう話をするという。

「先入観を持たずに選手に接することが重要です。とにかく人から話を聞いてみる。何がベストな答えなのかは分からないですから」と選手や開発者たちとのコミュニケーションからより良い野球用品を提供するためのヒントを得てきた村田氏ならではの答えだった。また、学生のころから用具を見たり使ったりすることが大好きなだけに、「何より野球が好きであること。自分でプレーをしながら道具の性質を覚え、出身地など選手の知識を深めることも大切です。趣味の延長のようなものですね。こういう仕事をできる人が増えてほしい」とも語っていた。

いよいよ3月下旬から開幕する今年のプロ野球。人の心を動かすプレーを見せる選手たちを陰で支える村田氏の存在が頭の片隅にでもあれば、より深くゲームの楽しさを味わうことができるはずだ。