MLB NEWS

2006年05月24日発行

バリー・ボンズ

〜米国民的英雄に並んだ男〜

Bonds
 5月20日のジャイアンツ対アスレチックス戦、現役最強スラッガーのバットから待望の一発が飛び出した。ジャイアンツの主砲バリー・ボンズ外野手は、マカフィー・コロシアムの右中間スタンドに突き刺さる特大のホームランを放ち、アメリカの国民的英雄である故ベーブ・ルース(ヤンキースほか)が残したメジャー歴代2位の通算714本塁打に肩を並べた。

 「300本塁打&300盗塁」を成し遂げた故ボビー・ボンズの遺伝子を受け継いだ息子は1986年のデビュー以来、驚異的なパワーとスピード、卓越したバットコントロールの良さ、類まれなる分析力を武器に数々の偉大な功績を残してきた。史上最多のMVP7回、ホームラン王には2回輝き、73本塁打のシーズン最多記録、前人未到の「500本塁打&500盗塁」を達成するなど数え上げればきりがない。その技術の高さは、昨年までメジャーでプレーした石井一久投手(現ヤクルト)に、かつて「1球で勝負をつけてくる。来たボールをミスなしで打ち込める」と言わしめたほど。

 ところが、そのボンズをもってしても、ルースの記録に到達するまでの道のりは決して平坦ではなかった。2004年のシーズンを終えた時点で703ホーマー。翌2005年にはあっさり歴代単独2位に浮上すると思われたが、右ひざの手術を3度も受け、シーズンの大半を棒に振る。結局、昨年は5本塁打に終わり、ルース超えは翌年に持ち越しとなった。

 そして迎えた2006年、41歳のボンズは春季キャンプで左ひじを痛め、コンディションがベストには程遠いまま開幕を迎える。4月3日の開幕戦から13戦連続のノーアーチで、22日にようやく今季第1号。その後8試合で3発とペースが上がってきたと思えば、再び足踏み状態となり、5月7日に713号を放ってからは9試合もホームランが出なかった。しかし20日、アスレチックスの左腕ブラッド・ホルシー投手の甘い球を見逃さず、ジャストミート。本拠地サンフランシスコの隣接地域オークランドで見事メモリアルアーチをかけた。

 ルースの記録は、ワールドシリーズで優勝することと同じくらい自身にとって最大の目標だったと言うボンズ。それだけに、プレッシャーは計り知れないものだったに違いない。もはやルースを抜き去るのは確実で、今後はハンク・アーロン氏(ブレーブスほか)が持つメジャー歴代1位の755本にどこまで迫れるかが焦点となる。残り31本。決して楽な数字ではないが、これまで数々の常識を覆してきたボンズだけに、今季中にメジャー記録を塗り替える可能性は十分あると言えるのではないか。(記録はすべて5月22日時点)