2006/9/ 7 -- 秋山英宏のテニス・ツアー潜入記
白熱! エナン-ダベンポート戦
信じられないことだが、今、女子のトップ10にアメリカ人選手の名前はない。ウィンブルドンでは、アメリカ人選手は誰一人ベスト8に残ることができなかった。そして、このUSオープンで、最後のアメリカ人選手としてベスト8に残ったのがリンゼイ・ダベンポートだった。
去年の最終ランキング1位のダベンポートも、度重なるケガで今は11位まで後退した。今シーズンは、3月半ばから8月まで丸5カ月近くトーナメントに出場していない。6月で30歳になった。これまで何度か現役引退について発言しているダベンポート。本人もファンも、その日が近づいていることを覚悟しているはずだ。
この日の準々決勝の対戦相手はジュスティーヌ・エナンアーデン(ベルギー)。対戦成績はエナンアーデンの6勝5敗だが、99年の初対戦からダベンポートが5連勝した後、エナンアーデンが6連勝中(その他に棄権勝ちが1)。今季は全仏を含む5大会に優勝し、好調のエナンアーデンと、優勝のないダベンポート。ランキング1位をうかがうエナンアーデンと、テニス人生の最終章を迎えているダベンポート。エナンアーデンの優位は動かないと思われた。
しかし、ふたを開けてみると予想以上の接戦。激しい打ち合いが続く。タイプは異なるものの、攻撃テニスと攻撃テニスの激突だった。ダベンポートが速い展開から強打で攻撃を仕掛ければ、エナンアーデンもカウンターで攻める。ダベンポートのパワーとエナンアーデンのスピードが火花を散らした。
だが、エナンアーデンは盤石だった。試合を通じ、24のウイナーを決め、エラーはわずか10。攻撃テニスにミスはつきものとはいえ、ダベンポートは24のエラーを犯し、ウイナーは17本。互角の打ち合いも、最後はエナンアーデンの脚力とボールへの執念が上回った。
「リンゼイの出来は最近6回の対戦の中で最もよかった。彼女は信じられないようなレベルだった。私自身、最高潮までレベルを引き上げなければ勝てなかった」とエナンアーデンは対戦相手をたたえた。
記者会見で、USオープンはこれが最後になるのかと問われたダベンポートは「まだ分からないわ。12カ月というのは長い時間だし」と答えた。敗退し、トーナメントを去るにあたって特別な感傷はないとも言う。「今はいい気分よ。ここ数週間のプレーには本当に満足しているわ。今日は、いいプレーができたし、チャンスもあったけれど、彼女がもっといいプレーをしたと思う」。人柄のよさで知られるベテランは、こう言って穏やかな笑みを浮かべた。
投稿者: フリーライター 秋山 英宏 日時: 2006年09月07日 08:47|パーマリンク|コメント: 0 »コメントを送る…