2007/9/ 3 -- 秋山英宏のテニス・ツアー潜入記
ジョコビッチとステパネクの4時間44分(USオープン2回戦)
すごい試合だった。スコアは6-7(4),7-6(5),5-7,7-5,7-6(2)。総ゲーム数「63」は、70年にタイブレーク制が採用されてからの全米オープン最多タイ記録となった。両選手の特徴が、がっちり噛み合う好試合だった。
ステパネク(チェコ)はジョコビッチ(セルビア)のスピードを封じるために、遅いボールを多用した。ボールは遅くても、展開は鋭かった。早めにコースを変えて左右に展開し、隙があればネットをとった。ステパネクのネットアプローチは122回を数え、そのうち76回(確率62%)をポイントに結びつけた。
ジョコビッチはベースラインでのスローテンポなラリーにつき合わされて、苦しんだ。持ち前のスピーディーな動きからカウンターショットを打つ機会がなかなか見つからない。持久戦で体力も奪われた。終盤は両選手とも足にけいれんを起こし、トレーナーの処置を受けながらの壮絶な戦いとなった。勝負はまさに紙一重。だが、最後はジョコビッチの攻撃がステパネクの技巧をねじふせた。
それにしても、ジョコビッチがアメリカでこれほど人気があるとは思っていなかった。フレンチオープンとウィンブルドンで続けてベスト4。あっという間に世界3位にのし上がった注目の新鋭とはいえ、ここはニューヨーク。人気のある選手と言えばアンディ・ロディックやジェームズ・ブレーク(ともに米国)で、セルビアの20才にそれほど知名度があるとは思えなかったのだ。
しかし、さすがに長いテニスの歴史を持つアメリカだ。観客は、ジョコビッチがモントリオールで行われたマスタースシリーズ・カナダで世界ランキング1位フェデラー、2位のナダル、3位のロディックを一度に倒した若き怪物であることを知っていて、「すごい若造が出てきたらしい」と興味津々でコートに足を運んだのだろう。ルイ・アームストロングスタジアムの観客は、おそらく期待していた以上のプレーを、素晴らしいドラマを目撃した。また、ジョコビッチの率直なキャラクターに触れ、好感をもっただろう。そして、彼の勇気と勝利への意欲に対し、惜しみない拍手を送ったのだ。
「信じられないような戦いだった。めったににないような試合だ。僕たちは二人ともこの試合を誇っていい」とジョコビッチ。そして、くずれ落ちそうな気持ちを声援で支えてくれたファンに感謝した。「素晴らしいファンだった」と。
投稿者: フリーライター 秋山 英宏 日時: 2007年09月03日 00:31|パーマリンク|コメント: 0 »コメントを送る…