2007/9/ 7 -- 秋山英宏のテニス・ツアー潜入記
女王エナンと元女王セリーナが準々決勝で激突
セリーナは怒っていた。野球帽を目深にかぶり、まったくの無表情で記者の質問に答えた。というか、まともには答えられなかった。とてもそういう心理状態にはなかったらしい。
--今日は何がうまくいかなかったのか、説明してもらえますか?
「いいえ、できないわ。ごめんなさい。他に質問は?」
--がっかりしている?
「見ての通りよ」
ぶっきらぼうに答えるセリーナ。とりつく島もないというのは、このことだろう。なぜ、そんなにがっかりしているのか、理由を問われても語ろうとしなかった。
エナンとは12度目の対戦。過去6勝5敗の対戦成績が残っている。ただし、ハードコートに限ればセリーナの3勝無敗。ハードコートではセリーナ、クレーコートではエナン(4勝1敗)と、サーフェスによる戦績の色分けができていた。ハードコートで初めての敗戦は、元女王のプライドをいたく傷つけたに違いない。
思えば両選手は、過去に因縁試合もあった。03年全仏の準決勝。セリーナがエナンの打ったボールをセルフジャッジのように「アウト」とコールしたことが発端で、観客の理不尽なブーイングを浴び、敗れ去ったのだ。観客のひどく偏った声援は、隣国ベルギー出身でフランス語を話すエナンへの地元びいきだったのか。ファーストサーブのフォールトで拍手が起きるほど、マナーもへったくれもない応援だった。この敗戦でセリーナの四大大会連覇は「4」で途切れた。しかし、まあ、セリーナがこの出来事を恨みに思っていたわけではないだろう。返り咲きを目指す元女王が、現女王に激しい闘志を燃やしたと見るのが自然だ。セリーナの怒りは、期するものがあった試合を落とした自分に対する憤りだったのだと思う。
セリーナを破ったエナンだが、準決勝では第12シードのビーナスの挑戦を受ける。エナンは「同じ大会で二人と対戦するのは私にとって、いいチャレンジになる。ウィンブルドンではセリーナとの試合でたくさんエネルギーを使ってしまった(続く準決勝でバルトリに敗れ、ビーナスとの決勝での対戦は実現しなかった)。精神面でも限界を超えてしまった」と語っている。四大大会でウィリアムズ姉妹の両方を破った選手は、過去に01年全豪オープンでのマルチナ・ヒンギスしかいない。エナンは「私は自分のテニスをするだけ。ビーナスとは長いことやってないから、面白い試合になると思う」と不適にほほえんだ。
投稿者: フリーライター 秋山 英宏 日時: 2007年09月07日 03:27|パーマリンク|コメント: 0 »コメントを送る…