2008/1/17  --   秋山英宏のテニス・ツアー潜入記

“オトナ”になったジョコビッチ

1年前の全豪オープン。19歳のジョコビッチは、まだスター候補の一人だった。06年にはツアー2大会に優勝し、ランキングを16位まで上げていた。しかし、この時点でジョコビッチはまだ、ガスケ(フランス)やマリー(イギリス)と並ぶ有望株の一人に過ぎなかった。07年、セルビアの若者に大きなブレークスルーが訪れた。ランキングは3位となり、ジョコビッチは世界が注目するスター選手になった。

第3シードとして迎えた、この全豪。ジョコビッチは1歳年をとった分だけオトナになったように見える。1回戦の試合後、ジョコビッチはインタビュアーに促され、ベースラインに向かった。そう。去年の全米オープンで披露して大評判になったシャラポワのものまねを、ここでも見せてほしいと頼まれたのだ。しかし、今回のものまねは“手抜き”だった。あっさり薄味というか、頼まれたから仕方なしにやっているんだよ、と言っているような感じだった。

直後の記者会見でジョコビッチはこう話している。
「ものまねについては、ここ数ヶ月、いろんなことを言われたからね。何度も言ってきたように、僕は誰かを笑いものにしたり、傷つけるつもりはまったくないんだ。僕の考えでは、こういうことが何かポジティブなエネルギーにつながるような気がしている。人と違ったことをやろうとか、そういうことではなくて、ただ楽しみたいからやっているだけなんだ。このことをネガティブにとらえて、いろいろ言われるのは心外だ。だから、もうこれ以上ものまねをして、また何か言われたくはないと思っているんだ」

人気者のつらさというか、何をやっても人はあれこれ取り沙汰する。だったら、少しでも誤解を招くような行動は慎もうということなのだろう。

去年の成功で、彼に対する期待は格段に高まっているが、そのことに伴う重圧に関しては、こう語っている。
「プレッシャーを感じるのは自然なことだと思うよ。感じないほうがおかしいと思う。肝心なのは、それをどう扱うかだ。僕は期待の大きさとか、人がどう言っているかというのは考えないようにしている。もちろん、ポジティブなことを言ってくれるのはうれしいけれど、それも重圧にはなるからね。僕はまだ20歳だし、あと10年、15年とツアーでプレーしたいと思っている。だから、できるだけ深刻にならず、自分のことだけに集中したいと思っている」

若くしてトップに上り詰めた選手が、自分を見失い、伸び悩んだ例は少なくない。だが、“自分”を持っているジョコビッチなら、その心配はないだろう。

投稿者: フリーライター 秋山 英宏 日時: 2008年01月17日 15:18||コメント: 0    »コメントを送る…

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