2008/9/11  --   秋山英宏のテニス・ツアー潜入記

錦織圭のこの1年(1)

「テニスをしていて、どういうときが一番楽しい?」。この質問に「できなかったことができるようになったとき」と答えた選手がいた。素晴らしい答えだ。だから彼らは、できるようになるまで練習するのだ。プロ転向から丸1年。錦織圭はその間、いくつもの課題に直面し、それをクリアしていった。どんどん「できること」を増やしていった。アスリートして、大きく成長した1年、夢のような1年だったのではないか。

乗り越えるために最も苦労したのは、気持ちのコントロールだったのではないか。デルレービーチで優勝したことで錦織は「勝ちたい」という気持ちに常に支配されるようになった。そうなると結果はついてこない。4月に米国・フロリダ州のIMGアカデミーで取材したときには、こんなことを話していた。

「優勝してからは、もっといいプレーをしたいという気持ちが強くなって、簡単なミスをしたり、苛立つことがちょっと多くなりました。デルレイビーチのときは、信じられないようなプレーや、いつもはできないようなプレーが何ポイントも続けられたり、集中力もあったんですけど、そのイメージが残っているので…」

「自信はすごくついている」と言いながら、勝ちたい、勝たなくてはいけないという気持ちに支配されていることを錦織は率直に話した。状況は変化し、周囲のマークも厳しくなっていた。

しかし、苦境を脱するのに長い時間はかからなかった。4月の末、イギリス領バミューダで行われたチャレンジャーで優勝。決して調子はよくなかったようだが、錦織は泥臭く勝ち星を拾った。そうして「勝たなくてはいけない」という重圧を制圧した。自分自身と戦い、大きな壁を乗り越えたのだ。

投稿者: フリーライター 秋山 英宏 日時: 2008年09月11日 12:25||コメント: 0    »コメントを送る…

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