2008/9/11 -- 秋山英宏のテニス・ツアー潜入記
錦織圭のこの1年(3)
インタビューでの錦織がいい、と言う人が少なくない。前向きなコメントと、少しはにかんだような笑顔。にじみ出るユーモア。言葉数は少ないが、錦織圭という人物がよく伝わってくる。
松岡修造さんは一時期、錦織の話題になると必ず「足りないのは表現力」と言っていた。コート外での言葉による表現力と、コート上でのボディランゲージを含め、アピールする力が物足りないと語っていた。しかし、今回の全米オープンでのインタビューなどを見ると、なかなか堂々としていて、大したものである。全米では、コート上でも自分を鼓舞するために声を出し、拳を握りしめた。ボディランゲージは、闘う姿勢を十分に表現していたと思う。
昨年のAIGオープンの開幕直前にプロ転向の会見を行った錦織は、会見の直前まで、スピーチの内容を暗記していた。言うべきことを言うだけで精一杯だった。デルレービーチで優勝し、取材が殺到した今年の春先も、受け答えがまだぎこちなかった。「メディアに注目されるのはうれしいです」と口では言っていても、記者会見やインタビューが終わるたびに、大きく息を吐き出していた。IMGアカデミーでメディア対応のレッスンを受けているとはいえ、この点も成長は著しい。一番苦手とされていた部分で、これだけ好感を得ているのだから。
技術面で大きく変わったのはサーブだ。小学生の頃からサーブは大きな課題だった。すべてのショットで効率のよいフォームで打ち出す錦織が唯一苦労していたのがサーブだった。しかし、全米では時速200キロ超のサーブも見せた。コースや速度、ボールの回転にバリエーションをつけることで、サービスゲームの安定感はグンと上がった。将来、弱点になりかねないと思われたサーブが、今では立派な得点源になっているのだ。
1年でこれほど成長できるものなのか。18歳というのは素晴らしい年齢だ。そして、この変化の背景には、日々の努力があったことは間違いない。
投稿者: フリーライター 秋山 英宏 日時: 2008年09月11日 12:35|パーマリンク|コメント: 0 »コメントを送る…