2008/9/11  --   秋山英宏のテニス・ツアー潜入記

錦織圭のこの1年(2)

もうひとつ、錦織が苦しんだのが体力面だ。「体力がない」。この評価は心外だったはずだ。しかし、故障や途中棄権が相次いだのは、事実だった。

フィジカルトレーニングは人並み以上にこなしてきた。13歳で渡米してから中村豊(現IMGアカデミー・パフォーマンスディレクター)と一緒にトレーニングを積んできた。IMGアカデミーで取材した際、錦織と中村のトレーニングを見学する機会があった。デ杯デビュー戦を1週間後に控えていたが、トレーニングの内容はかなりハードだった。強度の高いトレーニングを継続的に行うことこそ、中村と錦織が目指すところなのである。また、強度の高いトレーニングに継続して取り組むための強い意志こそ、中村が錦織に求め続けてきたものなのだ。

18歳2カ月で初のツアー優勝。世界の一線に躍り出た錦織は、その後も高いレベルの相手との試合が続き、肉体が悲鳴を上げた。イギリスのグラスコートでの連戦では、4大会に出場し、ウィンブルドンを含む3大会で途中棄権を強いられた。中村と錦織は、あと2年、20歳までを育成の時期ととらえている。今はまだ、フィジカルがテニスの能力に追いついていない、というのが中村の見方だ。しかし、錦織の有り余るほどの才能は、体が出来上がるのを待ってくれなかったのだ。

しかし、錦織は全米オープンで早くも答えを出す。1回戦では「残量ゼロ」になるまで体力を消費しながら、勝ちきった。第4シードのダビド・フェレール(スペイン)との3回戦。錦織は、巧みな試合運びで最後まで体力を持たせた。そして、強敵フェレールを破ったのだ。まだ、スタミナ十分とは言えない。しかし、5セットを戦い抜いたことは大きな自信となるだろう。そして、錦織の「意志」は、やがてこの課題を乗り越えるに違いない。

投稿者: フリーライター 秋山 英宏 日時: 2008年09月11日 12:28||コメント: 0    »コメントを送る…

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